長良川鵜飼──1300年続く伝統を、ミュージアムと観光船で体験する

長良川鵜飼 博物館・科学館・研究施設


岐阜県岐阜市の長良川うかいミュージアムでは長良川の鵜飼について詳しく学ぶことができます。
長良川の鵜飼は1300年もの歴史を誇ります。
今回は鵜飼ミュージアムで歴史を学び、観光船に乗ることで実際の鵜飼を間近で体験してきました。
長良川鵜飼の魅力について見ていけたらと思います。

※長良川鵜飼「付け見せ」の動画(観光船から撮影)

【長良川鵜飼の歴史】
①古代から中世
長良川の鵜飼の歴史は古く、702年の戸籍にその存在が記されています。
それ以降1300年以上続く伝統として続いていますが、その特徴から今でいう観光に近い見世物の側面があります。
室町時代には6代将軍足利義教や前関白太政大臣の一条兼良が見物した記録などが残っています。
戦国時代には美濃を平定した織田信長が、武田信玄の使者であった秋山虎繁の接待のために長良川の鵜飼を見せたとされています。

②近世
江戸時代に入り、大坂夏の陣の帰りに徳川家康・秀忠親子が鵜飼を見物しています。
その際鮎鮨を食しており、それ以降将軍家への鮎鮨献上が行われるようになったとされています。
その後長良川流域は一時幕府直轄地となりますが、その後尾張藩に管轄になりました。
鵜匠は苗字帯刀のほか、幾つかの鵜飼に関係する特権を与えられています。
江戸時代後半になると長良川鵜飼は観光としても発展し、庶民が観光船で見物するようになりました。

③近代~現代
明治時代になり、これまでの幕府や尾張藩といった公的な保護が無くなりました。
そのため鵜匠にとって厳しい時代だったとされています。
しかし、1878年(明治11年)に明治天皇の御巡幸があり、その後も長良川の鮎を要望されることがありました。
1890年、岐阜県の願い出を元に、長良川の3か所を御猟場とし、皇室専用の禁漁区と定まりました。
そして鵜匠は「宮内省狩猟局鵜匠」(現在は宮内庁式部職鵜匠)に任命され、公的な地位を取得しました。
現在は皇室への鮎の献上や外国使節の接待などにも使われており、観光業としても続いています。

【長良川うかいミュージアム】
長良川うかいミュージアムでは、長良川鵜飼の歴史から鵜飼の仕方、鵜匠の生活など様々な見方で鵜飼を紐解いています。
鵜舟には基本3人が乗りますが、その役割や舟の操作、鵜の操作など非常に細かく展示されていました。
また、漁に使用される鵜はウミウですが、そのウミウを野生で捕まえて漁ができるまで育てていることは知りませんでした。
全国で唯一、茨城県日立市でウミウの捕獲が行われているそうです。
※ウミウの捕獲について詳しくはこちらの公式サイト
今でもウミウを捕獲している理由は、人工的に育てたウミウでは鵜飼の能力が劣り、自然界で魚を捕る能力を取得したウミウが必要などではないかと感じました。
コンパクトな博物館ですが、展示内容はボリュームがあり、鵜飼の前に見ているとより鵜飼が楽しめました。
場所は以下の場所になり、歩いて対岸の鵜飼観光船乗り場に行ける距離です。

鵜飼ミュージアム外観

※鵜飼ミュージアム(長良川より撮影)

【鵜飼】
①乗船
鵜飼開始は19:45で、外は真っ暗になってから行われます。
そのため、鵜飼観光船は乗合船で18:15、18:45、19:15の3つの出航タイムスケジュールがあります。
鵜飼の時期は5月から10月までなので、夕方ぐらいの薄暮から、真っ暗になるまで楽しめます。
私は最初の18:15の便に乗りました。
※詳細な鵜飼観光船情報は公式サイトをご確認ください。

②鵜飼前
観光船は鵜飼エリアを一周したあと、南側の河原沿いに停止しました。
杭があるため、それと船をロープでつなぐ形です。
また、イカリを沈めており、川の流れで船が流されることもありませんでした。
その後、後続の船がどんどんやってきて、乗船した船とつながれていました。
鵜飼のため、長良川の流れに沿って船がつながれて、何隻も直線上になっていました。
私の船は最初に出航したため、最上流の位置に停泊しました。
まだ明るいため、岐阜城も良く見えました。

薄暮の岐阜城

※長良川から見る岐阜城(現在は耐震補強工事で休城中)

長良川に並ぶ観光船

※長良川に並ぶ観光船

③鵜飼
鵜匠達は事前に上流の河原で準備しています。
日が沈むころにかがり火を付け、くじを引いて当日の鵜飼の並びを決めます。
観光船からはかがり火が付いていく様子が見えました。
初めは一つの炎ですが、各鵜舟に分かれて、六つのかがり火になります。

かがり火の準備

※かがり火の準備


そして鵜飼が始まります。
順次鵜舟が下流へやってきます。今回は停泊する観光船の前を各鵜舟が通過していきます。
これは「付け見せ」と呼ばれており、各鵜匠の違いを見比べることができます。
10から12の鵜が鮎を探し、またかがり火を操作することで鵜の手助けをします。

先頭の鵜匠はかがり火と鵜のコントロールをしている

※先頭の鵜匠はかがり火と鵜のコントロールをしている

鵜匠は右手と左手で違う紐操作をする

※鵜匠は右手と左手で違う紐操作をする

鵜匠は適切なタイミングで薪をくべる

※鵜匠は適切なタイミングで薪をくべる

鵜匠は鮎を捉えた鵜をすぐに見つけ、舟に鵜をあげて鮎を回収します。
そしてすぐ鵜を川に戻します。

手際よく船に引き上げられる鵜

※船に引き上げられる鵜(一瞬です)

※「付け見せ」の動画

下流まで行った鵜舟は観光船と河原の間の浅瀬を通って上流まで戻ります。
この間に上流の観光船の一部は船間の連結をほどき、北側の対岸に行きます。
ここの長良川は東から西へ流れているため、観光船は北と南に分かれて総がらみに向けて川の真ん中を開ける形になります。
そして鵜舟が準備完了し総がらみが行われます。

総がらみ前の準備

※総がらみ前の準備

総がらみで鵜舟が並ぶ

※総がらみで鵜舟が並ぶ

総がらみは全ての鵜舟が協力して行います。
北側から順に下流に進んでいきます。
舟と舟の間はちょうど一隻のタイミングで、次々と舟がくることで鮎が追い立てられ鵜が捉えるとのことです。
風向きが南西から北東へ吹いていたため、間近を鵜舟が通るとかがり火の火の粉が吹いてきました。
総がらみは非常に迫力あり、すぐに終わってしまうため見逃せません。

飛び散る火の粉

※飛び散る火の粉

④下船
総がらみが終わるとすべてのイベントが終わります。
上流の観光船から順に船着き場に向かいます。
途中、漁を終えた鵜舟の上に鵜が引き上げられ仲良く並んでいました。
また、すっかり真っ暗になっており、ライトアップされた岐阜城が鵜飼の余韻を感じさせてくれました。

鵜舟に引き上げられた鵜

※鵜舟に引き上げられた鵜

暗くなりライトアップされる岐阜城

※暗くなりライトアップされる岐阜城

【感想】
待ち時間は長く感じましたが、その時間を楽しむことが鵜飼観光船の魅力だと思いました。
日が暮れていく様、食事、徐々に冷めていく風、そのようなものをゆったり感じられました。
鵜飼はあらかじめ長良川うかいミュージアムで概要を頭に入れていたためより楽しめたと思います。
かがり火の移動にムクゲを使うなど、鵜匠の所作の知らなかった世界を実際に見ることができました。
また、かがり火に鮎がびっくりし、逃げた鮎の鱗が反射し、それを見て鵜が魚を捉えるそうです。
夜に鵜飼をすることで漁獲量が増えるそうで、夜の鵜飼が受け継がれてきている理由にも歴史を感じました。
改めて知らないことが多い、不思議で幻想的な世界だと感じました。

【その他】
・食事は持ち込み可能なので持っていきましょう
・観光船にはトイレありので安心です
・長良川沿いのホテル宿泊者は、ホテル前から乗れる貸切船もあります
・鵜飼の鮎は一部のホテルのレストランにも卸されています
・車の場合、駐車場が混むため下船後は早めの移動が好ましいです

【まとめ】
長良川うかいミュージアムで歴史を学び、実際の鵜飼を観覧しました。
人と鵜が紡いできた1300年の伝統を深く味わえました。
非日常の夜を楽しめる長良川鵜飼、ぜひ一度体験してみてください。

ーカメビギ



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